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年だにもとをとて四つは経にけるを
いくたび君をたのみ来ぬらむ

歌の意味
年数だけでも四十年は過ごしてきたのだから、その間に妻は何度あなたを頼りにして過ごして来られたことでしょう。
鑑賞
十六 手を折りて

帝三代に仕えた紀有常という人が政争に敗れ、没落し貧しい暮らしを余儀なくされた。
有常は優雅な暮らしを送っていたので世間の常識もしらず苦労する。
ついには長年、連れ添った妻も尼になり有常もとを離れていく。

歌は有常が送った近況を知らせる手紙の「手を折りてあひ見し事をかぞふればとをといひつつ四つは経にけり」に対する友人からの返歌である。
友人は尼の衣類や夜具を歌ともに送った。

有常とその妻は長い年月の間、強い信頼で結ばれていたのだから、できるだけ厚く心をつくして送り出してあげなさいという意味がこめられている。
作者
出典
伊勢物語

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