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秋や来る露やまがふと思ふまで
あるは涙の降るにぞありける

歌の意味
秋が来て露でびっしょり濡れたと間違うほど、私の涙が雨のようにとめどなくこぼれている。
鑑賞
十六 手を折りて

帝三代に仕えた紀有常という人が政争に敗れ、没落し貧しい暮らしを余儀なくされた。
有常は優雅な暮らしを送っていたので世間の常識もしらず苦労する。
ついには長年、連れ添った妻も尼になり有常もとを離れていく。

有常が妻のための尼の衣や夜具を送ってくれたお礼に送って歌「これやこのあまの羽衣むべしこそ君がみけしとたてまつりけれ」に詠み加えた歌。

有常は没落した後も親身にする友人とのかかわりが描かれている。
有常の人柄は高潔であると『三代実録』にも記され、その性格のせいか藤原氏との政争に敗れた。
作者
出典
伊勢物語

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