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見るめかるかたやいづこぞ棹させて
我に教へよあまの釣舟

歌の意味
海藻の海松(みる)を刈りとる入り江はどこか。釣舟を漕いで連れて行って、ここだと私に教えてくれ
鑑賞
七十 あまの釣舟

 ある男が狩の役人の仕事から帰って来たときに、大淀の入り江の渡し場に泊まった。
 歌は斎宮に奉仕している召使の童女に詠みかけた。

 六十九段の後日譚になる。お互いに逢いたいと強く思いながら逢えないままに帰ってしまって、諦めきれないということだろうか。歌には斎宮に逢えるのはどこなのか。ここなのだと私に教えて連れて行って欲しいという意味が込められている。

 大淀は三重県多気郡の海岸のこと。
 棹さしては「舟を漕いで」の意味と方向を「指して」の意味を掛けている。
作者
出典
伊勢物語

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