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目には見て手にはとられぬ月のうつの
桂のごとき君にぞありける

歌の意味
目では見ながら手には取ることのできない月の中の桂のようなあなたである
鑑賞
七十三 目には見て

 消息は知っていたが、手紙を出すことさえできない女がいた。
 歌は女を思って男が詠んだ。

 『万葉集』巻四・相聞歌の中に収録された「目には見て手にはとられぬ月の中の桂のごとき妹をいかにせむ」の類歌である。入内して女御更衣となった女性や斎宮、斎院となっている女性は居場所ははっきりしていても交際や手紙のやり取りをできる人ではない。男の思い慕う人はそういった特殊な立場にいる女性なのだろう。

 月のうちの桂は中国の伝説で月の中に桂の木があるという。
作者
出典
伊勢物語

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