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わが門に千尋ある影をうゑつれば
夏冬たれか隠れざるべき

歌の意味
我が家の門に大きな陰をつくる大木を植えたので夏の日差しが強い時、冬の風がつよく大雪の時、一門のこの木陰に隠れないだろうか。
鑑賞
七十九 千尋ある影を

 一族の中に、親王が生まれた。御産屋の祝い(出生後、三日目、五日目、七日目、九日目に行う祝で、夕刻から行われる。)で人々が歌を詠んだ。この皇子は貞数の親王である。中将の兄である中納言行平の娘が生んだのだが、当時の人々は中将の子だと噂した。中将とは在原業平のことを指す。
 歌は親王の祖父方の親族が詠んだ。

 歌には一族の中に親王が生まれ、どんな時でも一族の者は庇護を受けるだろうと意味で詠まれている。
一族とは在原氏の一族のことで、平安時代では天皇の影響力は強く、皇子が誕生による一族の期待は大きかったのだろう。
 業平が好色多情と評判の人で皇子の誕生をわが事のように喜んだので、実は業平の子だという噂を立てられたのだろうか。

 千尋ある影は「ひろ」人が手をひろげた長さで約一間(1.8メートル)で広い大きな影という意味。
作者
出典
伊勢物語
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