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知る知らぬなにかあやなくわきていはむ
思ひのみこそしるべなりけれ

歌の意味
見知るとか知らないとか、どうしてわけもなく区別して言うのか。知り合って逢えるのは思いだけが道しるべになるものだ。
鑑賞
九十九 見ずもあらず

 右近の馬場で騎射の試射が行われた日、向かいにある車の中に女がいた。女の顔が簾(すだれ)のすきまから、かすかに見えた。中将であった男は歌を詠んで贈った。
 歌は男の詠んだ「見ずもあらず見もせぬ人の恋しくはあやなく今日やながめ暮らさむ」に対する女の返歌。
 この後、男は女が誰であるか知って逢うようになった。

 素性のわからない女に対する恋心を抱いた男に、逢いたいと思うなら素直に行動しろと諭している。

 中将とは在原業平のことで、この男女の歌のやりとりは『古今集』、『大和物語』にも収録されている。
作者
出典
伊勢物語
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