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近江なる筑摩の祭とくせなむ
つれなき人の鍋の数見む

歌の意味
近江(おうみ)の国の筑摩(つくま)神社の祭を早くやってほしい。情の無いあの人が鍋をいくつかぶってお参りするのか見たい。
鑑賞
百二十 筑摩の祭

 ある男は、異性を知らないであろう女が高貴な方と人目を忍んで愛を語らい、関係を持ったのを知った。
 歌はその事を知った男が詠んだ。

 筑摩の祭の日は、土地の女がこれまでに関係を持った男の数だけ鍋をかぶって参内する風習があったという。歌を詠んだ男には全く関心を示さなかったから男性を知らないだろうと思っていた女が、実は高貴な人とひそかに関係を持っていたと知って、この女の実態を知りたいと思ってこの歌を詠んだのだろう。生娘を気取って自分を無視する女に対して腹を立てているようにも取れる。
作者
出典
伊勢物語

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