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表題
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伊勢物語
手を折りてあひ見し事をかぞふれば
とをといひつつ四つは経にけり
歌の意味
指を折って、ともに暮らした年月を数えてみると、十年といいながらそれを四回も過ごしてしまった。
鑑賞
十六 手を折りて 帝三代に仕えた紀有常という人が政争に敗れ、没落し貧しい暮らしを余儀なくされた。 有常は優雅な暮らしを送っていたので世間の常識もしらず苦労する。 ついには長年、連れ添った妻も尼になり有常もとを離れていく。 歌は有常の友に宛てた自分の境遇をつづった手紙の最後に書かれる。
出典
伊勢物語
その他の歌
栗原のあれはの松の人ならば 都のつとにいざといはましを
しのぶ山忍びて通ふ道もがな 人の心のおくも見るべく
年だにもとをとて四つは経にけるを いくたび君をたのみ来ぬらむ
これやこのあまの羽衣むべしこそ 君がみけしとたてまつりけれ