古典和歌stream
表題
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伊勢物語
などてかくあふごかたみになりにけむ
水もらさじとむすびしものを
歌の意味
どうしてこのように逢う時が得がたくなってしまったのだろうか。水の漏れるすきまもないように固く契りを結んでいたものを
鑑賞
二十八 などてかく
色好みの女が、夫の家を出て他の男のところへいってしまった。
歌は夫であった男が詠んだ。
「あふご」は逢う時の意味と物を担ぐ棒、天秤棒をかける。
「かたみ」は難み、むずかしいの意味と、竹かごと肩身をかける。
「むすびし」は契りを結ぶ意味と水を掬ぶ(むすぶ。水を手ですくい上げる)をかける。
掛詞を多くつかった歌である。
作者
出典
伊勢物語
その他の歌
我ばかり物思う人は又もあらじと思へば水の下にもありけり
水口に我や見ゆらむかはづさへ水の下にて諸声になく
花にあかぬ歎きはいつもせしかども今日のこよひに似る時はなし
あふことはたまの緒ばかりおもほえてつらき心の長く見ゆらむ