古典和歌stream
表題
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古今和歌集
濡れてほす山路の菊の露の間に
いつか千歳を我はへにけむ
歌の意味
山道の菊の露で着ているものが濡れて干しているわずかな間に、いつの間に私は一千年も過してしまったのだろうか。
鑑賞
巻第五 秋歌下
仙人の住む宮殿に菊を分けて人が入って行く形の州浜を詠んだ歌。
菊の花に付いた露により不老長寿を得るという中国の故事の「菊の露」とわずかな時間の意味の「露の間」を掛けている。仙境に迷い込んだ人になりきって情景を詠んだ歌。
州浜は現在のジオラマのようなもの。
作者
素性法師
出典
古今和歌集
その他の歌
うゑし時花まちどほにありし菊うつろふ秋にあはむとや見し
秋風の吹あげにたてる白菊は花かあらぬか浪のよするか
花見つつ人まつ時は白妙の袖かとのみぞあやまたれける
ひともとと思ひし菊を大沢の池の底にもだれか植ゑけむ