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浜千鳥跡はみやこにかよへども
身は松山に音のみぞ鳴く

歌の意味
浜千鳥の足跡(筆跡)は都に行き通じることができるのに、浜千鳥のからだ(私の身)は都から離れた松山で悲しみの声をあげて鳴くばかりなのです。
鑑賞
巻一 白峰
松山に幽閉された新院が都にいる帝へ写経とともにこの歌を送った。しかし少納言信西が帝への恨みがこめられているのではと疑われ送り返された。
死後、新院が怨念の塊となり、世を呪うようになった契機。

歌の出典は「保元物語」。院が詠まれたことになっている。浜千鳥の跡とは筆跡、つまり写経のことで、都に届いた写経は、私の生身から発する悲しみの音(声)を伝えてはいないという、表現と現実の乖離を感じている心を訴えた歌。
作者
上田 秋成
出典
雨月物語

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