古典和歌stream
表題
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古今和歌集
春くればかりかへるなり白雲の
みちゆきぶりにことやつてまし
歌の意味
春が来て、雁が北へ帰ってゆく。白雲のなかの道を行くのであろうが、できることなら越の国へ行ったあの人に言付けをしようものを。
鑑賞
巻第一 春歌上
帰る雁の鳴き声を聞き、越の国へ下っていった人のことを思い詠んだ歌。
雁に手紙を託すことは、前漢の蘇武の故事にもとづいているが、
故事は表面に出さないで、雁の鳴き声を聞いて、飛び行く北国にいる友を思う歌。
作者
凡河内みつね
出典
古今和歌集
その他の歌
ももちどりさへづる春は物ごとにあらたまれども我ぞふり行く
をちことのだづきもしらぬ山なかにおぼつかなくもよぶこどりかな
はるがすみたつを見すててゆくかりは花なきさとにすみやならへる
折りつれば袖こそにほへ梅の花有りとやここにうぐひすのなく