古典和歌stream
表題
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古今和歌集
はるがすみたつを見すててゆくかりは
花なきさとにすみやならへる
歌の意味
春霞が立ち、間もなく花が咲き始める春を見捨てて北へと飛んでゆく雁は、花の咲かない里に慣れているのだろうか。
鑑賞
巻第一 春歌上
北へ帰る雁を詠んだ歌。
平安時代の都人は辺境の地には花も咲かないと考えていたのか。
春霞が立つと、待ち望んだ花が咲き誇る季節が来るを待たずに、雁は北へ飛んでゆく。
春を喜び迎えられない心のかげりがあるのかもしれない。
作者
伊勢
出典
古今和歌集
その他の歌
をちことのだづきもしらぬ山なかにおぼつかなくもよぶこどりかな
春くればかりかへるなり白雲のみちゆきぶりにことやつてまし
折りつれば袖こそにほへ梅の花有りとやここにうぐひすのなく
色よりもかこそあはれとおもほゆれたが袖ふれしやどの梅ぞも