古典和歌stream
表題
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古今和歌集
ちると見てあるべきものを梅の花
うたてにほひのそでにとまれる
歌の意味
花が散るのを眺めて終わってしまうべきなのに、梅の花はよけいなことにいつまでも袖に移り香となって残っていることよ。
鑑賞
巻第一 春歌上 寛平の御時后宮の歌合せに番われた歌。 散っていく花を惜しんで、せめて香りだけでもとどめたいと思うものだが、この歌は意表をついて袖に残った香りを「うたて(残らなくてもよい、余計なことと思う気持ちを表す)」と言っている。 別れた人の香りなどと連想することもできる。
作者
素性法師
出典
古今和歌集
その他の歌
くるとあくとめかれぬものを梅の花 いつの人まにうつろひぬらむ
梅がかをそでにうつしてとどめてば 春はすぐともかたみならまし
ことしより春しりそむるさくらはな 散るという事はならはざらなむ
山たかみ人もすさめぬさくら花 いたくなわびそ我見はやさむ