- 歌の意味
- 中空にわき立つ壮大な雲が跡形もなく消えてすまうように、我が身が頼りなく空しくなってしまった。
- 鑑賞
- 二十一 いでていなば ある男と女がいた。二人は相思相愛で他の人に関心を持つ気持ちなどなかったが、些細なことが原因で夫婦の仲をわずらわしく思った。 女は行き先も告げずに家を出て行ってしまった。 歌は男の「わするらむと思ふ心のうたがひにありしよりけに物ぞかなしき」に対する女の返歌。 夫婦であった二人の男女はこの歌のやり取りの後に各々、別の人と関係を持つようになった。 歌は女の男に対する気持ち、夫婦であったときに思い慕う気持ちがすっかり消えてしまったと詠んでいる。 何となく気持ちが離れていく女と、その心の機微を解さなかったであろう男の別離の微妙さを表している。
- 出典
- 伊勢物語
- その他の歌