- 歌の意味
- あなたとどちらか長いか、ずっとくらべていたおかっぱの髪も今では肩のあたりを過ぎて長くなってしまった。しかしあなたではなく、誰が私の髪上げをしてくれることができるだろうか。
- 鑑賞
- 二十三 筒井つの
昔、地方へ出かけて行って生計を立てる仕事をしている人の子供たちが共同で使う井戸のそばで遊んでいたが、おとなになるにつれ男も女も互いに恥ずかしがって一緒に遊ばなくなった。
けれど、男は女を自分の妻にしたいと思い、女もまた男を夫にと思いつづけていた。女の親は他の男と結婚させようとしたが、女はかたくなに拒んだ。
歌は男が詠んだ「筒井つの井筒にかけましまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」に対する女の返歌。
女は男にたいして、あなたの以外の誰が私の夫になってくれるのかと応えている。
この後、二人は望みどおり結婚することになる。
髪上げは、直接夫がするのではなく親が行うのだが、結婚が決まってから行う。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語