- 歌の意味
- あなたが来ると言った夜ごとに、来てくれないので待ちぼうけのまま、むなしくすぎてしまう。このごろは当てにはしていないけど、恋しつづけながら時を過ごしている。
- 鑑賞
- 二十三 筒井つの
昔、地方へ出かけて行って生計を立てる仕事をしている人の子供たちが成人となり、とうとう結婚した。
しかし、妻の親がなくなり暮らしが貧しくなるにつれて、男は惨めな暮らしに見切りをつけようと、河内の高安(現在の大阪府河内郡で生駒山の南あたり)に通っていく女が新しくできた。
男は妻の詠んだ「風吹けば沖つ白浪たつた山夜半にや君がひとりこゆらむ」を聞いてからは妻をいとおしく思い、女のところへは行かなくなった。
歌は高安の女の会いたいと気持ちを詠んだ「君があたり見つつを居らむ生駒山雲なかくしそ雨は降るとも」の歌に男は会いに行くと答えたが、女のもとには現れなかった。女はそれでも男に来て欲しいのかこの歌を詠んだ。
この話は『大和物語』にさらに収録されている。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語