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表題
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伊勢物語
吹く風にこぞの桜は散らずとも
あな頼みがた人の心は
歌の意味
風が吹けば桜の花は散るものだが、去年の桜が散らずに残ったとしても人の心はあり得ないことよりも、さらに頼りにならない。
鑑賞
五十 鳥の子を
ある男がいた。男のことを不誠実だと言って恨む女を男は恨んだ。
男と女は歌を詠んで相手を非難しあった。
歌は女の「朝露は消えのこりてもありぬべし誰かこの世を頼みはつべき」に対する男の返歌。
桜が散らずに咲き続けるという奇跡さえも考えられないほどに女の心は不確実であてにできないという意味で詠まれている。
作者
出典
伊勢物語
その他の歌
鳥の子を十づつ十は重ぬとも思はぬ人をおもふものかは
朝露は消えのこりてもありぬべし誰かこの世を頼みはつべき
行く水に数かくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり
行く水と過ぐるよはひと散る花といづれ待ててふことを聞くらむ