- 歌の意味
- 流れていく水の上に数書いても消え去ってはかないが、さらにはかないのは、思ってくれない人を慕って思うことだ。
- 鑑賞
- 五十 鳥の子を
ある男がいた。男のことを不誠実だと言って恨む女を男は恨んだ。
男と女は歌を詠んで相手を非難しあった。
歌は男の詠んだ「吹く風にこぞの桜は散らずともあな頼みがた人の心は」に対する女の返歌。
お互いの浮気性を非難するものから、片思いのやるせない切なさを嘆く心境を詠んでいる。
行く水に数かくは、水の上に一、二、三と数を書くことで、はかないことの例えに用いられ『涅槃経』にもこの表現があるので、古くからある例えであったと見れる。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語