- 歌の意味
- 大淀の浜に生えるという海松を見に行くと言葉を聞き、お目にかかっただけで私の心は安らかに落ち着きました。これ以上、睦言を交わさなくても
- 鑑賞
- 七十五 大淀の
ある男が女に「あなたを伊勢の国につれて行っていっしょに住みたい」と言った。
歌は男の誘いの返事として女が詠んだ。
歌には、「その言葉だけで十分です。伊勢までご一緒するまでもありません」という意味がこめらて、女は男の誘いを断っている。
都から遠く離れた伊勢ののどかさに心惹かれた男が、好みの女との逃避行を考えたのか。
なぎぬは「なぐ」の完了形で海の縁語である。無風のこと。
語らはねどもは、しんみりと愛情の言葉を交わすこと。「逢ふ」、「語らふ」はいずれも情を通じ契りを交わす関係とみられる。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語