古典和歌stream
表題
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伊勢物語
浪間より見ゆる小島のはまびさし
久しくなりぬ君にあひ見で
歌の意味
波間から見える小島の浜辺に漁師の家の廂(ひさし)が見える。あなたに会わないで久しく時がたってしまった。
鑑賞
百十六 はまびさし ある男が特に理由はないけれど、奥州地方への道を辿りながら行った。 歌は都にいる愛しく思う人に詠んで送った。 都にいた男が女を思いきれないまま陸奥へ出かけて、都から離れた土地で心を整理して素直な心情を詠んだのだろう。 「はまびさし」は浜辺にあるひさしのことで、久しとの掛詞。
出典
伊勢物語
その他の歌
翁さび人なとがめそ狩衣 けふばかりとぞ鶴も鳴くなる
おきのゐて身をやくよりもかなしきは みやこしまべの別れなりけり
我見ても久しくなりぬ住吉の 岸の姫松いくよへぬらむ
むつましと君は白浪瑞垣の 久しき世よりいはひそめてき