古典和歌stream
表題
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古今和歌集
花ちれる水のまにまにとめくれば
山には春もなくなりにけり
歌の意味
花が散って流れている川をさかのぼって、花を求めて来たところ、山には花もなく春さえもなくなっていた。
鑑賞
巻第二 春歌下
三月の晦日(つごもり)ごろに山を越えたとき、山中の川に散った花が流れていたのを詠んだ。
山越えのときに、渓流に散った花が流れているのを見て、山中には花がまだ残っているのだろうと、山深く入ったが、春の気配さえもなくなっていたと、季節の移ろいを詠んでいる。
作者
深養父
出典
古今和歌集
その他の歌
あづさゆみ春たちしより年月のいるがごとくもおもほゆるかな
なきとむる花しなければうぐひすもはては物うくなりぬべらなり
こゑたえずなけやうぐひすひととせにふたたびとだにくべき春かは
とどむべき物とはなしにはかなくもちる花ごとにたぐふこころか