古典和歌stream
表題
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古今和歌集
五月雨に物思ひをれば郭公
夜ふかくなきていづちゆくなむ
歌の意味
さみだれの降る夜に物思いしていたところ、夜が更けてからほととぎすが鳴いて飛びすぎたがどちらの方角をさしてゆくのだろう。
鑑賞
巻第三 夏歌
寛平の御時の后宮で歌合に番(つが)われた歌。
雨音が聞こえる夜にほととぎすが鳴いて飛び去った。
夜なので辺りは暗闇で見えないのだろうが音で情景が詠まれている。ほととぎすが飛んで行った方向を自分の悩み事に例えているように考えられる。
作者
紀とものり
出典
古今和歌集
その他の歌
今さらに山へかへるな郭公こゑのかぎりはわがやどになけ
やよやまて山郭公事づてむ我世の中にすみわびぬとよ
夜やくらき道やまどへるほととぎすわがやどをしもすぎがてになく
やどりせし花橘もかれなくになどほととぎすこゑたえぬらむ