古典和歌stream
表題
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古今和歌集
宿りせし人の形見か藤袴
忘られがたき香ににほひつつ
歌の意味
泊まっていった人の形見だろうか、藤袴は忘れがたいよい香りを匂わせている。
鑑賞
巻第四 秋歌上
ふじばかまを詠んで人に贈った歌。
おそらくは作者の家に泊まっていった人は女性でその女性に贈った歌で、忘れがたいのは藤袴の香りではなく女性の衣服に焚き染めた香りだろう。作者の相手の女性に対する好意を伝えている。
「かたみ」は過ぎ去った出来事を思い出すきっかけの意味で死者が残したものではない。
作者
紀貫之
出典
古今和歌集
その他の歌
花にあかで何かへるらむ女郎花おほかる野辺に寝なましものを
何人か来て脱ぎかけし藤袴くる秋ごとに野辺をにほはす
ぬし知らぬ香こそにほへれ秋の野に誰がぬぎかけし藤袴ぞも
今よりはうゑてだに見じ花すすき穂にいづる秋はわびしかりけり