古典和歌stream
表題
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古今和歌集
何人か来て脱ぎかけし藤袴
くる秋ごとに野辺をにほはす
歌の意味
どんな人が来て脱いで掛けていったのか。藤袴は秋が来るごとに良い香りを匂わせる。
鑑賞
巻第四 秋歌上
是貞親王家の歌合せに番われた歌。
藤袴はキク科の植物で秋の七草の一つ。「ふじばかま」という草の名を人の着る袴に見立てて詠んでいる。衣類に焚き染めた香りから秋の野原を思い起した歌だろう。現代の感覚だとズボンやスカートが放置され、その匂いを嗅ぐのは想像しにくいが。
作者
藤原敏行朝臣
出典
古今和歌集
その他の歌
女郎花うしろめたくも見ゆる哉荒れたる宿にひとりたてれば
花にあかで何かへるらむ女郎花おほかる野辺に寝なましものを
宿りせし人の形見か藤袴忘られがたき香ににほひつつ
ぬし知らぬ香こそにほへれ秋の野に誰がぬぎかけし藤袴ぞも