古典和歌stream
表題
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古今和歌集
我のみやあはれと思はむきりぎりす
鳴く夕かげのやまとなでしこ
歌の意味
私だけが美しいと思うのだろうか、コオロギの鳴く夕日の中に咲く大和撫子を。
鑑賞
巻第四 秋歌上
寛平の御時に后宮の歌合せに番われた歌。
秋の夕暮れに咲く撫子の可憐な美しさを自分一人だけで眺めるのは惜しいと詠んでいる。つまり他の人もこの歌の情景を見れば自分と同じように美しさに感嘆するだろうという意味である。
「きりぎりす」は現在のコオロギのこと。
「やまとなでしこ」は秋の七草の一つ。
作者
素性法師
出典
古今和歌集
その他の歌
今よりはうゑてだに見じ花すすき穂にいづる秋はわびしかりけり
秋の野の草のたもとか花すすき穂にいでてまねく袖と見ゆらむ
みどりなる一つ草とぞ春は見し秋はいろいろの花にぞありける
ももくさの花のひもとく秋の野に思ひたはれむ人なとがめそ