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ちはやぶる神のいがきにふはふ葛も
秋にはあへず移ろひにけり

歌の意味
神社の垣根に生える葛も、秋には耐えきれず色が変わってしまった。
鑑賞
巻第五 秋歌下

 神社のあたりを通った時に、瑞垣のうちの紅葉を見て詠んだ歌。

 神聖な神社に生えている葛は神の力で常緑でありそうなに、秋の移ろいには抵抗することができず他と同じように葉の色が変わってしまったという意味で詠まれている。
 葛の蔓はかごを編んだり、根は生薬や粉にして調理されたりと日常の中で利用され、昔の人も馴染み深い植物だったのだろう。この歌でも有用な植物である葛に対する関心が感じられる。

 「いがき」は神社の周囲にめぐらした、清められた神聖な垣根のこと。瑞垣(みずがき)とも。
作者
紀貫之
出典
古今和歌集

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