古典和歌stream
表題
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古今和歌集
しらつゆも時雨もいたくもる山は
下葉のこらず色づきにけり
歌の意味
白露ばかりか時雨まで漏るという守山では下の方の葉まで残らず色づいていることだ。
鑑賞
巻第五 秋歌下
もる山のほとりで詠んだ歌。
昔は露や雨に濡れて草木が紅葉するとされていて、「もる山」の名前に掛けて雨露が木の上の方の葉から漏れて下の葉まで紅葉させたと洒落を効かせて詠んでいる。
「もる山」は現在の滋賀県野洲郡守山町付近の山。
「いたく」は、はなはだ、ひどくの意味。
作者
紀貫之
出典
古今和歌集
その他の歌
秋の夜の露をば露と置きながら雁の涙や野辺を染むらむ
秋の露いろいろことに置けばこそ山の木の葉のちくさなるらめ
雨ふれどつゆももらじをかさとりの山はいかでかもみぢそめけむ
ちはやぶる神のいがきにふはふ葛も秋にはあへず移ろひにけり