古典和歌stream
表題
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古今和歌集
秋の夜の露をば露と置きながら
雁の涙や野辺を染むらむ
歌の意味
秋の夜の白露をつゆほど置きながら雁の涙が野原をそめているのだろうか。
鑑賞
巻第五 秋歌下
是貞親王家の歌合せに番われた歌。
露が草木を紅葉させるという慣用的な表現で、露をつゆほど(ほんの少量の意味)で草木を色づくはずがないので、悲しげに鳴きながら飛び渡る雁の涙が落ちて紅葉させたのだろうかと詠んでいる。
作者
みぶのただみね
出典
古今和歌集
その他の歌
秋風のふきにし日よりおとは山峰のこずゑも色づきにけり
白露の色はひとつをいかにして秋の木の葉を千々にそむらむ
秋の露いろいろことに置けばこそ山の木の葉のちくさなるらめ
しらつゆも時雨もいたくもる山は下葉のこらず色づきにけり