古典和歌stream
表題
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古今和歌集
久方の雲のうへにて見る菊は
天つ星とぞあやまたれける
歌の意味
雲の上で見る菊は大空の星と見間違えてしまった。
鑑賞
巻第五 秋歌下
宇多天皇の御代に菊の花を詠ませた歌。
歌の左注には、この歌はまだ昇殿を許されなかった時に詠んで奉った歌とある。
雲の上は殿上、宮中の意味。菊は奈良時代末期から平安時代初期に中国から渡来したので当時としては珍しく、身分の高い人しか見る機会が無かったのだろう。この歌は普段見ることのない菊の花の美しさを詠んでいる。
「久方の」は雲の枕詞。
作者
藤原敏行朝臣
出典
古今和歌集
その他の歌
佐保山のははその色はうすけれど秋は深くもなりにけるかな
うゑしうゑば秋なき時や咲かざらむ花こそ散らめ根さへ枯れめや
露ながら折りてかざさむ菊の花老いせぬ秋の久しかるべく
うゑし時花まちどほにありし菊うつろふ秋にあはむとや見し