古典和歌stream
表題
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古今和歌集
竜田姫たむくる神のあればこそ
秋の木の葉のぬさと散るらめ
歌の意味
竜田姫に手向ける神がいるから、秋の木の葉が幣(ぬさ)のように散るのだろう。
鑑賞
巻第五 秋歌下
秋を詠んだ歌。
竜田姫は奈良の西方に鎮座する竜田大社の祭神で秋の神とされた。その竜田姫が旅立つ時、つまり秋の終わりに散る木の葉を幣として手向けているからだろうと詠んでいる。
「幣(ぬさ)」は神へのお供え物、旅立つ時の餞別の意味があり、秋が終わるのは竜田姫が去って行くからと考え、木の葉を幣に見立てている発想がおもしろい。
作者
兼覧王
出典
古今和歌集
その他の歌
神なびの三室の山を秋ゆけば錦たちきる心地こそすれ
見る人もなくて散りぬる奥山の紅葉は夜の錦なりけり
秋の山紅葉をぬさとたむくれば住む我さへぞ旅ごこちする
神なびの山をすぎ行く秋なれば竜田河にぞぬさを手向くる