古典和歌stream
表題
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古今和歌集
風吹けば落つるもみぢば水きよみ
散らぬ影さへ底に見えつつ
歌の意味
風が吹くと散って落ちる紅葉、池の水が清く澄んでいるので散らずに枝に残っているのさえ水底に映って見えている。
鑑賞
巻第五 秋歌下
池のあたりで紅葉が散るのを見て詠んだ歌。
池の水面に浮かぶ散った紅葉、まだ散らずに枝に残っている紅葉、それを映す水底の紅葉と秋の水辺の美しい情景が詠まれている。水面に映った紅葉は実在しない虚像だが、いずれ散って落ちてしまう紅葉をあらかじめ表していると考えると侘しくもある。
作者
凡河内みつね
出典
古今和歌集
その他の歌
もみぢばの流れざりせば竜田河水の秋をば誰か知らまし
山河に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり
立ちとまり見てを渡らむもみぢ葉は雨とふるとも水はまさらじ
山田もる秋のかりいほに置く露はいなほせ鳥の涙なりけり