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立ちとまり見てを渡らむもみぢ葉は
雨とふるとも水はまさらじ

歌の意味
立ち止まりゆっくり見てから渡ろう。紅葉は雨のように降っても水かさが増える事もないから。
鑑賞
巻第五 秋歌下

 亭氏院の御屏風の絵に、川を渡ろうとする人が紅葉の散る木の下で馬の手綱をひかえて立ち止まって場面があったのを、上皇がお詠ませになったので詠んで奉った歌。

 屏風に描かれた人の立場から詠んでいる。雨が降ると川が増水することがあるので、急いで渡ろうとする。しかし紅葉はいくら降っても川の水が増すことはないから、紅葉をゆっくりと眺めて渡ろうという意味である。
作者
凡河内みつね
出典
古今和歌集

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