古典和歌stream
表題
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古今和歌集
刈れる田におふるひつぢの穂にいでぬは
世を今更にあきはてぬとか
歌の意味
稲を刈った田に生える「ひつち」が穂を出さないのは世の中に今更と飽きてしまったということか。
鑑賞
巻第五 秋歌下 「ひつぢ」は稲を刈り取った株から生える新芽のことで「ひこばえ」ともいう。 「あきはてぬ」は秋果てぬと飽き果てぬを掛けて、作者の心情を稲が刈られた田の風景に合わせて詠んでいる。「穂にいでぬ」は古典では表に現れる、人目につくなどの意味もあるので、作者が人に認めらずに諦観の中にいるような印象を受ける。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
その他の歌
山田もる秋のかりいほに置く露は いなほせ鳥の涙なりけり
穂にもいでぬ山田をもると藤衣 稲葉の露にぬれぬ日ぞなき
もみぢ葉は袖にこき入れてもていでなむ 秋は限りと見む人のため
み山より落ちくる水の色見てぞ 秋は限りと思ひ知りぬる