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ゆく年の惜しくもあるかなます鏡
見る影さへにくれぬと思へば

歌の意味
往く年が惜しいことだ。鏡に映る自分の姿さえ暮れてしまうと思えば。
鑑賞
巻第六 冬歌

 「歌を奉れ」と仰せられたときに詠んで奉った歌。

 この歌で「くれぬ」は年が暮れる意味であるが、日が沈んで暗くなっていく意味もある。鏡に映る自分の姿が年々老いていくので、年が経つことを惜しいと詠んでいる。
 冬歌の最後に収録されている歌で、若くはない作者の実感として四季の終わりと人生の終わりを重ねているいるようにも感じる。
作者
紀貫之
出典
古今和歌集

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