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雪降りて年の暮れぬる時にこそ
つひにもみぢぬ松も見えけれ

歌の意味
雪が降り、一年が終わるそんな時に色が変わることがない松を見るのだ。
鑑賞
巻第六 冬歌

 寛平の御時の后の宮で歌合せに番われた歌。

 松の葉は常緑で一年を通して変化が無いため春に花が咲いたり秋に紅葉する他の草木に比べて、人に意識されることなく地味である。しかし雪が降るような寒い冬には他の草木が葉を落とした枯れ色ばかりなる中で常緑である松の存在の素晴らしさに気づくという意味で詠まれている。

 『論語』の「歳寒くして然る後に松柏の凋むに後るるを知る」を元にしているのだろう。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集

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