古典和歌stream
表題
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古今和歌集
わが待たぬ年はきぬれど冬草の
かれにし人はおとづれもせず
歌の意味
私が待ってはいない新年は来るのに別れてしまった人は便りすらない。
鑑賞
巻第六 冬歌 ある所へ出かけて行った人が帰るのを待って十二月末日に詠んだ歌。 「冬草の」は「かれ」にかかる枕詞で「枯れる」と「離(か)れる」の意味を掛けている。 若い時とは違い、新年を迎えるとまた老いを重ねることになる老人の鬱屈とした心情が詠まれている。待っている人は誰なのか、ある所はどこなのか、便りすら無いのは何故なのかと深読みしたくなる。
作者
凡河内みつね
出典
古今和歌集
その他の歌
梅の香の降りおける雪にまがひせば 誰かことごとわきて折らまし
雪降れば木ごとに花ぞ咲にける いずれを梅とわきて折らまし
あらたまの年のをはりになるごとに 雪もわが身もふりまさりつつ
雪降りて年の暮れぬる時にこそ つひにもみぢぬ松も見えけれ