- 歌の意味
- よく荒れてしまったもので、何代も住み変わった家なのだろうか。住んでいた人が訪れもしない。
- 鑑賞
- 五十八 荒れにけれ
思いやりのある女好きの男が旧都の地、長岡に家を作って住んでいた。
その隣にあった宮様のところにまあまあの女たちが来て、都外れの田舎だったので男は田の稲刈りをしようと用意をしているのを見た女たちが「たいそうな風流人のする仕事ですね」と集まって男の家に入ってきたので、男は家の奥へ逃げて隠れてしまった。
歌は男の住む家を見て詠んだ。この家には誰も住んでいないようだという意味で詠まれている。
都が平安京に移ってからも、特に必要のない者たちは旧都の長岡に残っていたのだろう。宮中に関わる者も残っていたと考えられる。
女たちも宮家に仕えていたのだろうが人の家に勝手に入って「荒れている」と詠むなど厚かましさが感じられる。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語