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吹く風にわが身をなさば玉すだれ
ひま求めつつ入るべきものを

歌の意味
私の体がどこでも吹き通ってゆく風になれば、あなたの住む美しい簾(すだれ)の透き間を探して中に入って行くことができのだが。
鑑賞
六十四 玉すだれ

 ある男が女と人目を忍んで親しく愛を語らうこともしなかった。
 歌は女がどこに住んでいるのか、あやしく思った男が詠んだ。歌には風になることはできないので、あなたが住むところを探して自由に行くことができないので残念だと言う意味がある。女に会いたいという男からのアプローチである。

 この男女の関係は祭などの公の場で男が女に目をとめたところから始まったのだろう。男には住んでいる場所すら分からないので、男女のことを知る人を介して歌を手紙でやりとりしている。
 男と文通をしても、交際を簡単には進めない女の用心深さかそれとも別の事情があるのか。
作者
出典
伊勢物語

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