- 歌の意味
- 伊勢の国の大淀の海岸に生えている松は薄情ではないのに、浦辺にうちよせて海岸を見ただけで引き返す波であることよ
- 鑑賞
- 七十二 大淀の松は
ある男が伊勢の国に住んでいた女に再び逢うことができず隣の国の尾張へ行くことになる。男は女を逢ってくれなかったと言って恨んだ。
歌は男の恨みに対して女が詠んだ歌。
歌では松を女、波を男に例えて詠まれている。大淀の浜で待つ女は薄情ではないのに、少し寄って「逢ってくれない」と恨みを言ったばかりで松までとどかない波のようだと男を非難している。
大淀の松は伊勢の多気郡の海岸に生える松のことで、「待つ」と掛けている。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語