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芦辺こぐ棚なし小舟をいくそたび
行きかへるらむ知る人もなみ

歌の意味
芦(あし)の生えた岸辺を往来する棚板も張ってない小舟は、芦に隠れて誰にも知られず行ったり来たりしている。
鑑賞
九十二 棚なし小舟

 ある男が恋しい女に、もしかしたら会えるかもしれないと何度も女の家のあたりに来ては帰る。
 歌は男がその女に手紙も出せずに詠んだ。

 歌には、あなたに一向に気付いてくれないので人知れず何度も行ったり帰ったりするであろうという意味で詠まれている。
 自信のない気弱な男が女に対して何もすることができない自身を卑下した独白のような歌である。
作者
出典
伊勢物語

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