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表題
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伊勢物語
わがたのむ君がためにと折る花は
時しもわかぬものにぞありける
歌の意味
私がたよりにしている主人のためにと思って手折る花は、時節も関係なく、いつも咲いている。
鑑賞
九十八 わがたのむ 太政大臣とお呼びする方がいらっしゃった。 歌は太政大臣にお仕えする男が、陰暦の九月ごろ梅の造花の枝にきじをつけて差し上げる時に詠んだ。 大臣はとても感心して当座の褒美を下さった。 主人の繁栄が末永く続くようにと、枯れることのない造花を差し出している。主従関係の信頼の厚さが表されている。
出典
伊勢物語
その他の歌
秋かけていひしながらもあらなくに 木の葉ふりしくえにこそありけれ
桜花ちりかひくもれ老いらくの 来むといふなる道まがふがに
見ずもあらず見もせぬ人の恋しくは あやなく今日やながめ暮らさむ
知る知らぬなにかあやなくわきていはむ 思ひのみこそしるべなりけれ