- 歌の意味
- 心に思っている事は言わずにそのままにしておこう。私と同じ気持ち人はいないのだから
- 鑑賞
- 百二十四 思ふこと
歌はある男が、どのような事を思ったか詠んだ。
伊勢物語の終段の一つ前にあるこの歌は様々な感慨が込められて詠まれている。
男が貴き賤しき、若き老いたる、洒落た、泥臭い、才気に溢れた、さまざまな女を追い逃げたりしながら心を動かし情を交わし、逢ったり別れたりを繰り返して年月をすごした。その中で厚い友情をわけたこともある。母子の情にすがったり、権力闘争に勝てず不遇を受けた。
そういった過去を顧みる年齢に至り、自らの体験で得た感慨は誰に言っても共感してもらえない諦念を詠んだのだろう。
伊勢物語が終焉に達した作者の感慨もあるだろう。回想としてふさわしい歌に思える。
- 作者
- 出典
- 伊勢物語