古典和歌stream
表題
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古今和歌集
霞立つ春の山べはとほけれど
吹きくる風は花のかぞする
歌の意味
霞の立ちこめた春の山々は遠く、花は見えないけれど、吹いてくる風には花の香りがすることよ。
鑑賞
巻第二 春歌下 寛平の御時の后宮で歌合に番(つが)われた歌。 遠くの春の山々には花が咲き誇っているのだろうが、霞が立ちこめて見ることができない。しかし山から吹く風は花の香りを運んでくる。実際には遠くの山の花の香りが届くとも思えないが、花を思いやる気持ちがそう感じさせたのだろう。
作者
在原元方
出典
古今和歌集
その他の歌
さく花は千くさながらにあだなれど たれかははるをうらみはてたる
春霞色のちくさに見えつるは たなびく山の花のかげかも
花見れば心さへにぞうつりける いろにはいでじ人もこそしれ
鶯のなくのべごとにきて見れば うつろふ花に風ぞふきける