古典和歌stream
表題
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古今和歌集
吹く風と谷の水としなかりせば
み山がくれの花を見ましや
歌の意味
吹き散らす風と、それを流す谷川とがもしなかったならば、深い山に人知れず咲く花をどうして見ることができようか。
鑑賞
巻第二 春歌下 寛平の御時の后宮の歌合の歌。 山の深くに咲く花を風が散らして、川が人里に運ぶ。もし風と川がなければ花が咲いたことを知ることができなかったろう。花を散らす風は好ましいものではないが、風を助けに花を見ることができている。
作者
紀貫之
出典
古今和歌集
その他の歌
春ののにわかなつまむとこし物を ちりかふ花にみちはまどひぬ
やどりして春の山辺にねたる夜は 夢の内にも花ぞちりける
よそに見てかへらむ人にふぢの花 はひまつれよえだはをるとも
わがやどにさける藤波たちかへり すぎがてにのみ人の見るらむ