古典和歌stream
表題
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古今和歌集
秋の夜の月のひかりしあかれば
くらぶの山も越えぬべらなり
歌の意味
秋の夜の月の光が明るいので、暗いという名の暗部山も越えてしまえそうだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 月景色を詠んだ歌。 実際には足元が危なくて夜中に山越えなどするはずもないのだろうが、越えることができそうと思わせるほど月が明るい夜を詠んでいる。 山の名の暗部と月の光の明るさを対比させている。 暗部山は貴船山説、鞍馬山説などがあるが所在不明。歌枕である。
作者
在原元方
出典
古今和歌集
その他の歌
月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど
久方の月の桂も秋は猶 紅葉すればや照りまさるらむ
蟋蟀いたくななきそ秋の夜の 長き思ひは我ぞまされる
秋の夜のあくるも知らず鳴く虫は 我がごと物や悲しかるらむ