古典和歌stream
表題
-
古今和歌集
蟋蟀いたくななきそ秋の夜の
長き思ひは我ぞまされる
歌の意味
蟋蟀(きりぎりす)よ、そんなに悲しそうに鳴いてくれるな。秋の夜は長いけれど、同じように長く尽きない思いは、私の方が優っているのだから。
鑑賞
巻第四 秋歌上 ある人のもとに訪ねて行った夜、コオロギが鳴いたのを聞いて詠んだ歌。 コオロギに鳴いてくれるなと頼んでいるような歌であるが、訪ねた家の主人の嘆き悲しむのを見て私の方がもっとつらいのだと、自分の心の寂しさを詠んでいる。 蟋蟀(きりぎりす)は現在のコオロギのこと。
作者
藤原忠房
出典
古今和歌集
その他の歌
久方の月の桂も秋は猶 紅葉すればや照りまさるらむ
秋の夜の月のひかりしあかれば くらぶの山も越えぬべらなり
秋の夜のあくるも知らず鳴く虫は 我がごと物や悲しかるらむ
あき萩も色づきぬればきりぎりす 我が寝ぬごとや夜は悲しき