古典和歌stream
表題
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古今和歌集
久方の月の桂も秋は猶
紅葉すればや照りまさるらむ
歌の意味
月にあるという桂の木も、秋になると紅葉するからなのか月の光がより明るく照っているようだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上
是貞親王家の歌合せに詠んで番われた歌。
秋の月が他の季節より美しく輝いて見える理由を中国の伝説にある月の桂の木が紅葉で色づいているからだろうと詠んでいる。
月にあるとされる桂の木は伝説にちなんだものだが地上と同様に月にも秋があり、伝説の木も紅葉するという歌は作者の豊かな感受性を思わせる。
「久方の」は月の枕詞。
作者
みぶのただみね
出典
古今和歌集
その他の歌
さ夜なかと夜はふけぬらし雁が音の聞こゆる空に月わたる見ゆ
月見ればちぢに物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど
秋の夜の月のひかりしあかればくらぶの山も越えぬべらなり
蟋蟀いたくななきそ秋の夜の長き思ひは我ぞまされる