古典和歌stream
表題
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古今和歌集
さ夜なかと夜はふけぬらし雁が音の
聞こゆる空に月わたる見ゆ
歌の意味
夜が更けて真夜中になったらしい。雁の鳴き声が聞こえてくる空に月が渡ってゆくのが見える。
鑑賞
巻第四 秋歌上
秋の夜空に浮かぶ月が詠まれている。近くでは雁の鳴き声が聞こえ、そらを遠く見上げれば月が傾いている様子から空間の大きさを感じさせる。
『万葉集』巻九1701番に同じ歌が収録されている古歌であり、柿本人麻呂の作であるが、古今和歌集では作者の表記はない。誤って入ったようだ。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
その他の歌
かくばかり惜しと思ふ夜をいたづらに寝てあかすらむ人さへぞうき
白雲の羽うちかはし飛ぶ雁のかずさへ見ゆる秋の夜の月
月見ればちぢに物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど
久方の月の桂も秋は猶紅葉すればや照りまさるらむ