古典和歌stream
表題
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古今和歌集
君しのぶ草にやつるるふるさとは
松虫の音ぞ悲しかりける
歌の意味
あなたを偲び草で覆われ荒廃した思い出の場所では松虫の鳴き声が悲しく聞こえる。
鑑賞
巻第四 秋歌上
ただ荒れ果てた二人で住んだ懐かしい家であなたが訪れるのを待つといったところか。帰らない恋人を待つ憔悴しきった心情が詠まれている。
「しのぶ草」はノキシノブというシダの一種で「君しのぶ」と掛詞になっている。
「松虫」は今で言う鈴虫のことで、待つの意味が込められている。
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
その他の歌
あき萩も色づきぬればきりぎりす我が寝ぬごとや夜は悲しき
秋の夜は露こそことに寒からし草むらごとに虫のわぶれば
秋の野に道もまどひぬ松虫のこゑする方に宿やからまし
秋の野に人松虫のこゑすなり我かとゆきていざとぶらはむ